横浜と鉄道(4)
京浜急行・野毛山トンネル線形の謎!(その3)
過去の地図に見る野毛山トンネルの形状!!
現在の地図でも正確に記載されていないのですが、過去の地図ではどの様に記載されていたのでしょうか?
【下記地図の出展は全て横浜市立図書館「ホームページ」”都市横浜の記憶”より】
(1)野毛山トンネルが無い!? | |
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上記の地図にハマちゃんが着色記載しました。 |
幻の湘南電鉄桜木町行き電車が走っています!? 昭和4年4月発行の地図です。この時期実際には湘南電鉄はまだ開通していないのです。浦賀〜黄金町間開通が昭和5年4月で黄金町〜横浜間開通が昭和6年12月の事で、この地図が発行された時点では既(昭和2年12月)に湘南電鉄に桜木町〜横浜間の申請却下され、桜木町経由での京浜電鉄との連絡は不可能となり、昭和4年には日ノ出町経由で湘南電鉄と京浜電鉄が連絡する路線が決定し用地買収に入っていたです。(昭和4年8月24日発行・東洋経済新報参照) 京浜電鉄の野毛山トンネルの形状の記載も無く、湘南電鉄の黄金町〜桜木町間の免許のみで線形を記載したのか?また日ノ出町駅でなく長者町駅の記載がされているが、これも何処から出て来た駅名なのでしょうか?不思議でなりません。〔市役所の地図ですよ?〕 それにしてもこの地図の路線線形・長者町(日ノ出町駅)の駅形状が一番自然で理想的なものだったと思いますがね!?〔これで電車が走っていてくれれば良かったのにね・・・・・・・???!!!〕 |
(2)野毛山でなく掃部山を通っている!? | |
実測大横浜市全図 (最新地番入) 日本地理附図研究所 昭和5年5月発行 縮尺 1/27000 |
もう既に工事中の時期の地図なのに何で!? まだ開通していない時期なので、予定線として破線で表示されているので良心的な地図なのですが、路線形状がはなはだ不正確である点では不合格な地図なのです。 掃部山公園辺りから野毛にかけて記載されている破線の京浜予定線が記入されていて、実際とは大きくずれているのですが、このルート案もあったのではと考えられます。伊勢山・掃部山の直下を通り(山の上の土地利用は公共的な箇所が多く承諾を得易かったのはないでしょうか!?)、日ノ出町附近でのカーブも現在のものより緩いカーブにする事が出来たのではないでしょうか? しかし湘南予定線と書かれている黄金町と桜木町間の線路形状が既にはっきり決まって用地も買収済、更に地形図にもその形状が書かれているのに、その位置から大きくズレて直線で桜木町駅に接続されている点から考えるとやはり単純な間違いであったのでしょうか!? それだけ大らかな時代だったのかも知れませんね!? |
(3)初めての野毛山トンネル!? | |
模範大横浜市全図 再版 鉄道旅行社 昭和7年4月発行 縮尺 1/25000 |
長〜いトンネルですね!? この地図の発行された昭和7年4月には既に湘南電鉄と京浜電鉄の横浜乗入れ工事も完成し、前年12月に開通していました。初めて黄金町から日ノ出町・野毛山トンネル経由で鉄道形状が記載されている地図と思われます。しかし良く見ると既に開通していたにしては、大きな間違いが幾つかある様です。 一つ目は黄金町駅の位置が現在の黄金町駅を日ノ出町駅の中間辺りに記載されています。二つ目は日ノ出町駅に入る前に市電通りを横断する位置がやはり現在の黄金町駅と日ノ出町駅の中間辺りで渡って道の山側に記載されています。 そして野毛山トンネルは入口の位置はほぼ正確に記載されているのですが、実際は三つのトンネルに分かれているのを一つの長いトンネルとして記載されているのです。でもトンネル形状はまずまずの位置関係で書かれているのではないでしょうか? 市電が太線・赤色で書かれているのが当時の市内交通の中心としての役割が良く表れていますね!! |
(4)かなり正確になった野毛山トンネル! | |
横浜全市域白図 明報堂 昭和7年11月発行 縮尺 1/25000 |
御所山・上原トンネルが無いよ 市電通りと大岡川間を路線が北上し長者町交差点を前にして大きくカーブし、日ノ出町駅となっている。更に駅を出て野毛山トンネルに入り市長公舎横・老松小学校下を通り北上た所まではかなり良い精度で記載されている。 そこから先戸部駅にかけての路線形状が現状と大きく異なっているのです。野毛山トンネルの終点位置が長過ぎるのと、上原・御所山トンネルが無く地上線となって記載されているのです。 この地図が発行された昭和7年時点ではもう既に開通しているのである。どうしてこの様な記載になったのでしょうか?謎の部分ですね。 |
(5)三つのトンネル全て記載される!! | |
大横浜最新明細地図(西南部) 東京日日新聞横浜支局 昭和8年7月発行 縮尺 1/9000 |
それでもまだ正確な記載はされていない!! 野毛山トンネル・上原トンネル・御所山トンネルと全てのトンネルが記載されいる。しかし野毛山トンネル内の形状はやはり正確には記載されていない。 老松小学校の校舎を避けて書かれているのは良いのだが、実際はここでR300のカーブを付けていない為、直線でさらに”小松原”辺りまで行ってから大きなカーブを付け野毛山トンネルを貫けている。 上原トンネルはほぼ正確に記載されているのですが、それに合わせる為”小松原”辺りでカーブを付けざる得なかったのではないかと思います。 その後国土地理院の発行の1/1万地形図にトンネル形状が記載される様になった昭和59年編集の図面までトンネル形状が記載される事はなく、公式図面で正確な野毛山トンネルの形状を見ることが無かったのでした。 そしてその1/1万地形図は1/2500図の縮図編集で作られるので、1/2500図にはトンネル形状が書かれていない為現在の1/1万地形図も不正確なトンネル形状のままなのでしょう。 ぜひこの機会にぜひ野毛山トンネルの形状を正確に書き直していただきたいと希望します。 |