「横浜貿易新報」に見る横浜関連鉄道記事ファイル
国鉄編(4)

〔明治45年・大正元年〜大正3年〕

【注】 
→記事見出し ・  →ハマちゃんの感想

明治 45 2 26 広狭両様の改良  京浜間は依然広軌継続

広軌改良の事は当分財政上の都合に依り実行不能の状態にある。(中略)独り従来広軌式に則りて其改良に着手せる東京・横浜間増線工事及び大坂・京都両停車場の改良工事のみは、依然計画を変更せず広軌式工事を続行する筈なれば明年度の改良工事は同一線路に広狭両様工事を施さるる訳合なりと。

 【横浜貿易新報の記事より】

(京浜間のみ広軌工事続行との事)
明治 45 5 11 京浜新設軌条工程

鉄道院に於ける東京横浜間線路新設工事中、鶴見品川間は大体終了軌条の敷設を残すなりたりば、ここ数日中に鶴見横浜間及び新橋品川間の工事に着手する予定にて目下其準備中なりと。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 11 16 京浜改善工程

鉄道院に於ける京浜増線工事は既に品川鶴見間は線路敷設に差し支えなき程度に進捗し、該区間停車場間も土工七分通り終了、六郷川鉄橋も架け替えを終りたるが、横浜停車場は用地の買収及び地均工事等多少手間取りたるを以て、明年早々材料の取纏めに着手し、明年度中には完成直ちに電車の併用運転を開始すべしと。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 11 28 横浜新駅工事

横浜新停車場は用地の買収に一方ならぬ故障ありたる為、延期さえ居たるも今回漸く全部買収済となりたれば、明年早々建物工事に着手する予定なりと。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 12 16 横浜新駅工程

横浜新停車場用地は少なからぬ故障の後、この程漸く全部買収済と成りたる由は本紙既報の如くなるが、(中略)電車は船渠会社前の線路より桜木町側に移転すべく既に交渉成り、桜木町より新停車場に至る道路は一直線に十五間幅に改築する計画なり、而して現横浜停車場は甚だしき変化なきも平沼駅は勿論既に取扱う事に決定し、別に保土ヶ谷より海神奈川駅に通ずる貨物線の為に、表高島町地内に貨物停車場新設せらるべく、且つ現に使用しつつある海神奈川駅は八王子及び鶴見より来る貨物を積卸し直ちに待受け碇泊船舶に積載す事と成るを以て竣工の上は運輸交通の上に一大変革を来す可しと。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 12 24 京浜電車運転期

鉄道院が東京横浜間に運転すべき電車は、昨今漸く其車体製造に着手したるが其形式は多少在来のものとは異なるべく、完成期は明年度末なるが電車併用開始期は大正三年四月頃なるべしと。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 2 2 4 陸海連絡の新計画  艀船荷役に対する鉄道院の新施設

鉄道院の横浜新停車場ならび之に伴う各線路の敷設工事は、既定の計画により着々進捗しつつあり。而して一方横浜港海陸連絡の設備に対する鉄道院の計画を聞くに、まづ貨物停車場の本体を表高島町埋立地に置き、更に神奈川砲台跡に一箇所現桜木町の停車場に一箇所、合計三箇所に貨物停車場を設ける筈にて大船を横付けれ荷役を為す可きは新港岸壁に停泊せしむるも其の他の艀船による者は以上の三停車場に就いて荷役を了せしむ可き予定なり。これが為表高島町埋立地に於ける貨物中央停車場には海面に沿い手軌道を敷き上屋を設け桜木町貨物停車場は大岡川の弁天橋下流の河岸に沿いて廃道となる可き部分に同様の設備を施す事となり居れるが、同所は恰も東京秋葉原停車場と相似たる地位となる可しと。
此て乗客線は月見橋付近より高架電車となりて、現横浜停車場に達しこの地点は将来市内を貫通して大船行き電車の基点たる可く。埋立地の貨物中央停車場よりは跨ぐ高架鉄道により、高島町新停車場を横切りて保土ヶ谷に通ず可し、更に横浜鉄道の海陸連絡は現海神奈川駅より鉄道院の神奈川旧砲台貨物停車場に連絡線を敷設する事となる可しと、この最後の計画を除きたる前記の工事は来る大正四年までに全部の竣成を告ぐる予定なりと。工事出来の上は目下艀船より馬車によりて倉庫に積み入れつつある輸入肥料等の荷役は非常に其の労を省くを得是が為に現在採算上余儀無く深川等に廻送されある諸種の貨物は大部横浜の海陸連絡線を利用するに至る可しという。

 【横浜貿易新報の記事(社説)より】
(この記事に始めて桜木町から大船への路線延長についての記載がされている。)
大正 2 4 15 横須賀線複線

横須賀線複線敷設費は既に去る四十一年度に於いて之が一部の起工をなすべく五十七万有予円の予算を要求し議会の協賛を経たるも、其の後に至り改良費遣り繰りの結果、其儘延期をなりしが、当局に於いても既に敷設の必要を認め居るのみならず近く完成すべき京浜間複々線竣工の暁には東京、横須賀直通の電車運転の計画あり、之が実施に付いては到底現在複線速成の必要を感ずるに至れば近々愈々起工の運びに至るべしと云う。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 2 10 10 2代目横浜駅着工

平沼駅乗車か程ヶ谷駅乗換えという不便に対処対策として神奈川駅と横浜駅間の程ヶ谷駅に分岐する辺りに新しい横浜駅を建設する事にした。

(時代背景として、日露戦争終結に続く鉄道国有化があり、京浜間の旅客需要は著しく増加する。この為新橋〜程ヶ谷間の線路増設工事の一環として京浜間電車専用線が増設される事になった。また京浜間電車の起点駅となる東京駅の開業に呼応して、従来の横浜駅への迂回による東海道本線への乗換え客の不便の解消しようとして横浜駅の移転となったのでした)

 【出展:横浜駅物語 神奈川新聞社編より】

〔上記の「新橋〜程ヶ谷間の線路増設工事の一環として京浜間電車専用線が増設される」になった時に、初代横浜駅(現桜木町駅)から横浜市街地を通って程ヶ谷駅に電車線も一緒に計画されていたものと考えられる。〕

〔それを裏付ける根拠として、この線路増設工事で2代目横浜駅と桜木町駅間が高架線として建設されているからです。京浜間電車専用線は2代目横浜駅までは地上線路でホームも地上に造られている。駅を出て直ぐに後年(大正4年12月30日)出来る高島〜程ヶ谷間貨物線(高架線)の下をくぐって、徐々に勾配を上げ高架になって300m位の所で市電と立体交差し、そのまま高架となって桜木町駅に達する。
この時点で桜木町駅からの省電延長計画がなければ、莫大な資金を投じてわずか1kmの路線を高架線にする事はなかったのではないでしょうか。〕
大正 2 10 22 京浜増線工事  中間停車場は作らず

鉄道院東京・横浜間の増線工事は品川・横浜間の分は全部之を終り、目下品川・新橋間の増線工事中なるが右は本年中には完成すべく、電車運転に要するホームの諸工事も品川を除くの外は大部分完成し居れば東京・横浜間の電車併用運転は予定通り明年七月頃より開始せれるべしと因みに京浜現在停車場の外に電車停車場の増設方を申請する向多きも右は現在各駅の外中間には停車場を設置せざる方針なりと云えり。

 【横浜貿易新報の記事より】
(この時点で駅の増設しない様だ。)

大正 2 11 16 新停車場工事現況

市内裏高島町に新設すべき横浜新停車場工事は目下、中町一丁目、材木町一丁目及び戸部七丁目地先桜川及び石崎川の埋立(桜川は市費、石崎川は鉄道院費)中なるが、一方戸部七丁目地先より中町一丁目及び材木町一丁目に貫通すべき新石崎川工事は大部分開削を終り新石崎橋の架設工事も既に橋脚据付中にて、遅くも明春迄には竣功すべく更に戸部七丁目電鉄会社所有に係る住宅用地よりは平沼に通じる道路を新設し、新石崎橋に通ぜしむる筈にて右と戸部七丁目間には石崎橋同様架橋の計画中なり、次に戸部終点行の電車は戸部六丁目裏の花咲町通り河岸より新設川を越へて、桜川埋立地に出で新停車場に達せしむ可く設計に着手したるが、新停車場行鉄道線路附近を私有地共約七百八十坪買収の筈にて市側は之に対し鉄道院に属する不用地全部の譲渡しを受けんと双方目下交渉中なれば決まり次第民家の移転に着手すべく其面積は約二百十五坪に及ぶ筈にて目下県土木課に於いて調査中なり。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 3 1 24 新停車場と施設  横浜経済協会調査

横浜港に於ける内外国貿易は比年多大の発展をなすと雖も本港海陸連絡設備に対する鉄道院の施設は従来頗る不備不便にして到底現状に甘んずべきにあらざるを以て、先年同院に於いては是が改良を計画し今や着々其工程を進捗し近く一部の竣功を見んとするに至れり、左記に改良工事及び之に伴う施設に関し同院並びに横浜市役所に就き調査せる所のものなり。

貨物専用駅
中央貨物駅  先に本市より買収せる新埋立地表高島町に一大貨物専用駅を設け此所に上屋を建設し岸壁に鉄道を敷設し、クレーンを設置する等遺憾なく海陸連絡設備を施し以て本市に於ける中央貨物停車場となさんとす。

現横浜貨物駅  現横浜停車場は電車停車場と貨物停車場とに区分し、内田町より長住町一帯を以て貨物停車場となし、内田町一丁目(大岡川左岸)に海陸連絡設備を施し一面港内に対し一面本部横浜に対する貨物集散駅となさんとす。

神奈川砲台跡貨物駅  当砲台跡に一貨物駅を新設し海陸連絡設備を施し以て神奈川方面に於ける貨物専用駅となさんとす。
以上の結果として東海道幹線は県下橘郡生見尾村地内より貨物線を分岐し市内子安町地先海岸通りより神奈川町地先千若町二・三丁目を通過し砲台跡貨物駅を経て表高島町貨物駅に達せしむ此所より二線に分岐し幹線は高架となり、高島町一丁目二丁目の間を西に戸部町七丁目石崎川右岸に至りて、現横浜駅より程ヶ谷駅に至る現在線路を利用し程ヶ谷駅に達し、支線は高島町一丁目より南下し内田町なる現横浜貨物駅に達し、此に新税関線に連絡す。而して砲台跡貨物駅は貨物専用線によりて東神奈川駅に連絡し此に八王子線に接続する。

旅客駅
高島町新停車場 平沼停車場を廃し東海道幹線は現神奈川停車場より左曲し高島町裏海岸埋立地を過ぎ高島町二丁目及び及び裏高島町一丁目に至り現横浜駅より程ヶ谷駅に通ずる現在支線を利用し、西走程ヶ谷停車場に達す。而して高島町二丁目及び裏高島町一帯に亘り新停車場を設け之を以て東海道幹線に於ける横浜旅客駅となすものとす。

現横浜停車場  改良工事完成の暁は京浜間は電車を専用し、現横浜駅を以て其終点とす。而して本電車線路は東京中央停車場に起こり東海道幹線に並行して、高島町新旅客駅に達し新たに敷設せるべき貨物高架線下を過ぎ、高島町一丁目より高架線となり現横浜駅に到達し、鉄道院既定計画に係る本市を横断して大船駅に通する線路敷設の準備となるものなり。右の結果として現横浜旅客駅は其規模を縮小し、単に電車乗客に対する設備を為すに止むるものとす。

神奈川停車場  表高島町貨物駅新設の結果現神奈川駅に於ける貨物取扱いを廃止し、
同線は単に旅客専用駅となるものとす。(後略)

 【横浜貿易新報の記事より】
(この時点で桜木町駅から先大船駅に電車線が延長との鉄道院の既定計画があり、その為の準備として桜木町駅までを高架化した事が記載されている!!)
大正 3 2 9 東海道と広軌式

鉄道院は東海道線新橋横浜間及び熱海線を広軌式に依り建設せりとて検査院より不当支出と認定せられるが、右に付き当局者の語る処に依れば橋梁の如き現在機関車のみにても百二噸以上のものを通じ居れば、随って耐重の関係上幅を取拡げたるものにして、現今東海道の各橋梁幅は広軌車を通しても何れも差支えなきもののみなり。用地も狭軌にても車幅次第に増大せる結果多少取広げたるのみにて、広軌式に依り施行するとせば尚現在以上の用地を必要とす如上の理由なるを以て今後東海山陽両線の改良は今日迄広軌式を唱へられ居たると同一の方針に依り施行せらるべし云々。

 【横浜貿易新報の記事より】
(どちらなのかよく判らない記事である?)
大正 3 6 5 列車運転廃止  高島町と停車場間二ヶ年間の救済策

目下工事中の鉄道院横浜中央停車場及び新東海道線は来年三月末までに竣成開通の予定なるが、従って高島町より現横浜停車場までの線路は院線高架電車築造の為、列車の運転を廃止さるべく其結果従来現在の横浜停車場に乗降の乗客は全部新中央停車場に於いてなす事となるが故に市内在住者は院線電車竣成に至るが故に市内在住者は院線電車竣成に至る二ヶ年間は頗る不便の地位に置かる可し。右の不便不利を救済する一方法として、列車運転廃止間の線路を其儘市内電車に流用して、桜川河岸に運転せしむるの途を執らば、横浜電車の在来内田町単線の不便をも併せて救治するを得べしとの説、市設備委員の間に起こり近く議を決して其筋に申請すべしという。

 【横浜貿易新報の記事より】
(2代目横浜駅から初代横浜駅までの路線を高架化する為に完成するまで運転が中止される事になる様だ?)
大正 3 6 9 線路貸下申請  列車運転廃止救済

既報の如く鉄道院線横浜市内高架電車工事着手の為遠からず高島町附近より、現在停車場の列車運転廃止せらるべきに附ては、市役所及び横浜電車協力して此の交通欠陥の応急策を講じ、横浜電鉄は既に鉄道院に向って列車廃止区間の鉄道線路を其儘貸下げの申請を為して其許可を得たる由なるが、而かも桜川河岸瓦斯橋より大江橋に至る間は現在機関庫のある為、鉄道線路に拠る能はず止むなく、道路に電車線路の新設を為すを要するも比較的狭小なる道路なれば、この区間車馬の道路は之を対岸花咲町河岸に移して交通の調和を図るべしというに一決せり。同時に内田町の横電単線を複線となすの道路使用も市の助力によって其筋に交渉せるべく右は近々開会の市参事会に向って先般来の問題たる市内電車速力制限を十二哩に増加の申請と共に提案を見るべし。

 【横浜貿易新報の記事より】
(高架化に伴う新横浜駅から旧横浜駅までの区間運休は深刻な問題であったのでしょう?)
大正 3 7 30 京浜増線工程

鉄道院京浜増線工事全部完成し目下横浜新停車場電車発着所の工事中にて、新橋品川間の土工も同停車場の完成迄には之を完成し直ちに電車の併用運転を開始すべく其時期は本年十一月頃なるべきかと。

 【横浜貿易新報の記事より】
(この新停車場電車発着所とは後の高島町駅になるのでしょう!?)
大正 3 8 22 院線京浜電車と横浜の不便

鉄道院横浜中央停車場新築工事は着々進捗し、明年三月の竣成期までには必ず落成の見込なる由なるが、同停車場に新築と同時に現在の横浜停車場は其一部を京浜間電車の一駅となる予定なれども、院線電車の開通も東京より中央停車場までに限られ同所より現在の停車場までは高架線工事の為、少なくとも一ヵ年間は運転に着手するを得ざるべしとは予て報道せし所の如し、右に就き横浜電車は此の間の院線用地を貸下げ応急線路を敷設して、市内交通の円滑を期せんとの計画を立て、横浜市の賛助を求めて鉄道院に交渉する所ありたるも高架線工事に着手するに於いては、工事の為に同所を他に使用する能はざる事となるが故にとて、市電の交渉に應諾を興うるに至らず此くして不十分ながらも市電の運転によりて中央停車場との交通を求めんとの案は全然絶望の外なきに至れるは其不便云はん方なし。

 【横浜貿易新報の記事より】
(院線の旧線路を市電が借りて運転する事で不便を解消する案は絶望となった。)

大正 3 9 9 1京浜交通の支障

鉄道院が先に横浜市の希望を容れて設計したる新停車場及び京浜間電車運転に関する工事は、其後着々進捗して、近き襲来に其使用開始を見るとするに至れる今日、図らずも茲に京浜間交通上の一大支障を来すあらむとする事を聞くは、縦令之が一時的に己むを得ざる経過なりとの単純なる説明ありとも、吾人は横浜市民の唯々として之を傍観すべきものなるや否やに就き、大いに論議する所なきを得ざる也。由来新停車場の位置は、東海道急行列車を出来るだけ市の中央地区に接近せる地点に停車せしむが為に、極度の技術的考慮を加えたる結果なること、当時の事情を知悉する吾人の、之を首肯するに異議無き所なりと雖も、而も此位置は、市の中央地区として京浜間の交通に最も緊密ある交渉を有する関内を距ること、尚余りに遠きを憾ましむるものあるが故に、鉄道院が新停車場を此位置に確定するに際し、市は之に条件を附して、其鉄道院計画の京浜間電車は、必ず現横浜停車場まで乗込ましむることを必要なりとし、鉄道院も亦た之を容れて、即ち現今の設計となりたるものとす。然るに今や其工事の進捗して、新停車場の建築も愈々来春を以て竣成を告げむとし、又京浜間電車は、年内に於いて該地点までの運転を見るべきも、之と同時に現停車場に至る間の交通は、該区間に高架線設備を施す為に、少なくも向う一箇年乃至一箇年半の断絶を免れざらむとすと云う。之に対する鉄道院の弁解は、該区間に於ける高架線工事の為に、現鉄道構内の総てを使用すべきを以て、縦令仮設線に依りて該区間の連絡を試みると欲するも能はずと謂うに在り。然れども是れ果たして絶対の不可能なりや否や、頗る疑問とせざる可からず。吾人の考える所を以てすれば、是唯工事上に不便なりと謂うが如き程度のものには有らざるべき乎。若し然りとすれば、鉄道院に於いても当初電車を現停車場まで乗込ますの必要を承認したる以上、縦令一時的とは謂え、該区間の交通を断絶せしむることが、横浜が日々の主要なる活動上に、幾許の犠牲を余儀無くするかを推察し得べく、従って之を救済する為に、更に出来るだけの考慮を須ゆることは、蓋し当然の用意たることを理解す可き筈也。而して横浜市としても、亦之を鉄道院に求め、以て飽く迄其被害を免れる々所以の途を講ずべきに非ずや、若し不幸にして市民の注意が、斯かる問題に傾倒せられざるが如きことがあらむか、吾人は之が所詮免れざるの不便なりとしても、之が為に其不便の期間を更に其最小限以上に延長さらる々の不利を蒙るに至らむことを慮る。吾人は之をしも尚忍ぶと欲する禾、敢えて市民の考究を促す所以也。

 【横浜貿易新報の社説的記事より】
(約束が違うと云っているのである!仮線を作って作業するとやり難いから、工事期間中は運転を中止して作業をしようとする役所的な発想を非難しているのである)
大正 3 9 22 子安と停留場

近く十一月頃を以て開通すべき鉄道院電車停留所に関し、鉄道院にては鶴見・東神奈川間には一の停留所をも設けざる計画なるやを漏れ聞ける沿道子安町民は同町発展の為に支障を来たすべしとして守屋氏を始め同町の主だたる人依り々協議し鉄道院に対し停留場設置の運動中なり。

 【横浜貿易新報の記事より】
大正 3 9 30 京浜の交通  横浜の重大問題

鉄道院の京浜間電車工事は、予定よりもやや遅れたりと雖も、年内には必ず其運転を開始し得べき模様あり。然るに之に関連して茲に京浜間交通上の一大問題こそ起こりたれ、そは該電車運転が、高島町一丁目より現横浜停車場までの間を高架線と為す必要上、向う二箇年は高島町一丁目止まりとなることと是也。思うに之には、鉄道院に於いても相当の理由を有すべしと雖も、而も之が為に横浜としての最も主要なる商業的活動の上に、至大の不便不利を及ぼすものあるに就いては、横浜市民の晏如として唯其成行を傍観せんとこと、是ほとんど其堪ゆる能はざる所たらずんば非ず。是に於いて乎吾人は先に如上の噂を耳にすると同時に、横浜市民の須らんとする不便不利を、未発に防止すべく奮起せざる可からざることを論唱したり、幸いにして今や横浜経済協会は、横浜の公益上至大の影響を有する本問題に着目し、二十八日の理事会に於いて、大隈首相並びに仙石鉄道院総裁に陳情書を提出するの決議を為せり。其要旨は吾人の主張したるが如く、該高架線の竣成する迄、仮設線に依りて現横浜停車場に至る電車運転を為さしめんとするに在り、是横浜市としては、蓋し当然の要請たらずんば非ず。吾人は当局に於いても、該設計協定当時に考慮せられたる実情に鑑み、以て横浜市の為に何等かの便法を講ずるに吝ならざんことを希望せざる可ざる也。夫の陳情書には、之が利害関係の「現横浜駅附近の商工業者」に止まるが如きとを謂えるも、若し此文句を単に其表面より見るに於いては、当局者として或は深く注意するに足らざるを念う事あらんと雖も、実は其関係する所の地域は、横浜の商業的活動上正に其主要なる部分を形成するものなるが故に、一朝如上の支障を京浜間の交通に来すが如きことあらば、其打撃は決して容易なりとは謂う可からず。而して其損害の及ぶ所は、必ずしも独り横浜の上にのみあらざる也。却聞鉄道院に於いては、之が為に其不用線路を横浜電車の使用に供し、以て此支障を或る程度まで匡救するの意ありと、果たして然る乎。然らば更に一歩を進めて、鉄道院自ら仮設線に依る運転を断行し、以て横浜市の利便を図ることの尚一層当然にして且つ之を為すに容易なるを思わざる可からず、吾人は横浜経済協会が其決議の目的を達するに十分の努力を為すべきを勧告すると同時、更に鉄道院に向っても、切に横浜市の立場を推察して、其打撃を除去することに相当の施設をおしむながらんを希望して已まざる者也。

 【横浜貿易新報の社説的記事より】
(鉄道院にて仮設線を運転すべく、陳情している)
大正 3 11 21 京浜鉄賃値上運動

鉄道院が来る十二月より東京・横浜間の電車併用運転を開始せば最も打撃を被るものは京浜電車にして、鉄道院側は現在の停車場以外中間に於いて電車駅を設けざるを以て左程苦痛なかるべしといひ居れるも、院線は遠く横浜高島町より深く東京停車場迄直通し得らるれば、旅客は此の院線に依るを便とするに至るべく従って京浜電車は院線運賃の値上げを運動していて自会社の乗客維持に努めるの外なしとなし未だ鉄道院が併用電車運賃の決定を興へざる機に乗じ昨今盛んなる運動を行いつつあるも蓋し成功覚束なかるべしという。

 【横浜貿易新報の記事より】
(院線電車が運転間近になり、京浜電鉄は危機感に陥っていた事が判ります。)
大正 3 11 28 院線京浜電車の横浜仮停車場

十二月十五日から開通する院線京浜電車の横浜仮停車場(高島町)は目下工事中なる新横浜停車場に接近して建築され、今は全く完成してこの度の上塗り中であるが、尚より一部の間に合はせとあって、神奈川を終点とする京浜電車の停留場よりもお粗末なものである。図中右方に見ゆる小さき建造物が仮停車場の事務室で左方の足場は工事中の新横浜停車場である。両者の間を走るのは京浜間の列車で丁度撮影中に線路を通過した。

 【横浜貿易新報の記事より】
(貴重な高島町駅の写真が記載されている。)
大正 3 12 15 東京駅開業・東京駅〜高島町駅(工事中の新しい横浜駅下り電車ホームの位置)間に電車運転を開始

(なぜ高島町駅なのか???)

「鉄道の箱」に戻る

横浜関連鉄道記事・国鉄編(3)」に戻る

トップページに戻る

inserted by FC2 system